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目覚ましい速度で技術が進化し続ける「健康」と「代替医療」の2つの分野。実は今、カンナビジオール(CBD)とデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)という2つの化合物が先述の分野の関係者の間で注目を集めています。これらの化合物は共に1940年代に産業用大麻植物から初めて抽出されました[1],[2]。以来、我々はこの2つの化合物の特性と医学的な用途についてたくさんのことを学びました。実は、カンナビス植物にはカンナビノイドを含むさまざまな物質が含まれており、これまでにもCBDとTHCを含めて113もの化合物が抽出されています。そして、THCやCBDの医療用途や治療目的での有用性が判明するにつれて、多くの国で一般的に使用される件数が増加しなりました。これら2つの化合物は、産業用大ヘンプとマリファナの主要成分ですが、それぞれ独自の効果と特徴を持っています。最近ではTHCやCBDについて多くの人が教育を受ける機会が増えてきましたが、未だに多くの方々がそれらについて勘違いしていたり誤解していたりします。この記事は、THCとCBDの違いと特徴を明らかにし、誤解や勘違いを解消することを目的にしています。ぜひ参考になさってくださいね。
CBDとは?
CBDは産業用カンナビス植物に含まれるたくさんの化合物の内の一つです。THCとは異なり、CBDは精神に影響を与えないため、使用者が「ハイ」になることはありません。その特性が医学的用途に向いていて、様々な症状を改善する可能性があることから今世界から注目を集めています。
人間の体内にある生化学的な信号伝達システムで、私たちの生理機能、気分、そして日常生活の調整に欠かせない役割を果たすエンドカンナビノイドシステムとの相互作用があり、特に脳の特定の受容体との相互作用によって、体内の様々な器官に良い影響がもたらされると信じられています。多くのユーザーは、ストレス緩和から痛みの軽減まで様々な効用を期待し、CBDをオイルや食品の一部、そして外用薬として利用しています。精神に影響を与えないことと治療に活用できることから、CBDは自然療法を求める人々の多くに人気の成分なのです。
THCとは?
THCはテトラヒドロカンナビノールの略語で産業用大麻植物に存在する化合物の一つ、精神に影響を与えるため、使用者が幸福を感じたり「ハイ」になったりすることで知られています。この化合物は、体内の自然カンナビノイド化学物質の効果を模倣します。認知、記憶、調整、快楽と関連する脳の領域とTHCは結合し、記憶、集中力、運動、気分、さらには時間と感覚に影響を与えます。
THCを摂取する人々の中には、幸福感以外にもリラックス感や静寂を感じる人が少なくありません。ただし、THCの影響を受けた状態で自動車などの運転や機械操作を行うことは危険です。また、THCはPTSD、てんかん、うつ病、摂食障害の症状を軽減する可能性を持つ一方で、長期間の摂取は、耐性の増加により依存症を引き起こす可能性があるので避けた方が良いでしょう。
CBDを日本で扱うことの法的リスク
日本では現在、医療用および娯楽用途でのカンナビスを販売、所持することは法律で禁じられていますが、日本政府は薬局でカンナビスが含まれた商品の販売を2023年に認可する可能性について検証中です。
CBDオイルとは?
カンナビス・サティバ植物から抽出されるCBDオイル(別名:カンナビスオイル)は、何千年もの間その薬効が評価されてきた植物由来のオイルで、「化学抽出」と呼ばれる工程を経た上で抽出されます。溶媒を活用してカンナビノイドを抽出し、フラボノイドなどの他の有益な成分とともに、ヘンプオイルやMCTオイルなどに混ぜて製造されます。
化学抽出の中には様々な方法が存在しますが、現時点では、CO2抽出が最も人気です。なぜなら、他の抽出方法では、クロロフィルやワックスやその他の有害物質を取り除くことができないのに対し、CO2では先述の有害物質を取り除き、安全且つ効能が高い製品を生成することができるため。
CBDオイルにおけるTHCの含有率
CBDオイルには主に3種類(フルスペクトラムCBD、ブロードスペクトラムCBDとCBDアイソレート)の製造工程を経て作られるものが存在し、工程によってTHCの含有率が分かれます。例えば、フルスペクトラムCBDには、日本では違法薬物に該当するテルペンや最大0.3%のTHCを含む複数の自然発生化合物が含まれています。一方でブロードスペクトラムでは、THCは完全に排除されていますが、他の化合物が含まれることがあります。そして、CBDアイソレートでは、THCを含めた化合物は一切含まれていません。
ところで、フルスペクトラムCBDで製造されたCBDオイルには最大0.3%のTHCが含まれますが、濃度が低いため精神活性効果は生じず、人が「ハイ」になることはありえません。
CBDオイルとオピオイド
一部で勘違いされている方がおられますが、CBDオイルはオピオイドではありません。オピオイドはモルヒネやフェンタニルなどの強力な痛み止めに使われる物質で中毒性がある劇薬です。一方で、CBDは体内の内因性カンナビノイドシステムと相互作用し、痛みを緩和し、気分を和らげ、食欲を推進するなどの作用があります。そして、中毒性はありませんので、安心してご利用いただけます。
CBDは薬品?
日本ではCBDは、薬品というよりも、食品や化粧品の一部として認識されています。しかしながら、CBDは本来、多くの薬品に認められる中毒性や副作用は存在しませんが、薬品の一部として認識するのが正しい姿です。なぜならCBDは、治療効果がある天然化合物であるため、アメリカ食品医薬品局(FDA)がそれを基に生産されるエピディオレックス(てんかんの治療薬)を承認しているくらいですので{3}、薬品の一部として扱われるのが本来のあり方です。
CBDとマリファナは同じ?
これも勘違いされている方が少なくありませんが、CBDとマリファナは同じではありません。CBDとは、マリファナの基となる、ヘンプと呼ばれる産業用大麻植物から生成される化合物の一つです。また、CBDとマリファナの製造工程は全く異なり、マリファナには精神に影響を与える成分のTHCが0.3%以上含まれるのに対して、CBDにはTHCが人体に影響を与えない程度含まれている (もしくは全く含まれていない)という違いがあります。ご参考までに、日本で販売されているCBDはTHCが完全に除去されていますので、ご安心してご利用いただけます。
結論:CBDは人体に安全でTHCとは全く異なる特徴を持つ
CBDオイルの内容物や製造工程を解説しました。その中で、CBDの安全性とTHCの特性をご理解いただき、また、CBDオイルの効果と特徴、そして安全性をご確認いただけたものと信じております。CBDとTHCは同じカンナビス植物のヘンプから生成される化合物ですが、CBDオイルを使用する上で、それらの特性を覚えておくとよいでしょう。
[1] Structure of Cannabidiol, a Product Isolated from the Marihuana Extract of Minnesota Wild Hemp. I pubs.acs.org
[2] Global Trends in Cannabis and Cannabidiol Research from the Year 1940 to 2019 www.ingentaconnect.com
[3] Epidiolex as adjunct therapy for treatment of refractory epilepsy: a comprehensive review with a focus on adverse effects ncbi.nlm.nih.gov