はじめに
今回はパーキンソン病にCBDがどんな変化をもたらすか、またパーキンソン病に苦しむ人たちの生活の質を上げる可能性はあるのか、について学んでいきましょう。 世界中で、およそ1000万人がこの病気に悩んでいると言います。 この数値は少なく思えるかもしれませんが、症状は非常に深刻で、ほかの人と一緒に暮らすのも難しい病気です。
パーキンソン病がどんな病なのか、この病気に対するCBDの使用方法についての研究を見る前に、簡単にCBDについて触れておきます。
CBDって何?
通常「CBD」と略されるカンナビジオールは、カンナビスサティバという麻植物に含まれる100を超える化合物の一種です。 カンナビノイドは、人間の体内でも生成され、体と脳の神経伝達物質と相互に作用します。 これは「エンドカンナビノイドシステム」と呼ばれます。 研究では、CBDのようなカンナビノイドは、数多くの健康上の利益を生み出すことが示唆されています。 痛みの緩和にも役立ちますし、多発性硬化症の症状を緩和します。 不眠症やうつ病にも効果を示しますし、特定の種類のてんかんの症状を和らげるケースがあります。
パーキンソン病って?
PDとも略されるパーキンソン病は、多くの人が60歳以上から発症する病気です。 神経障害として、脳神経に影響を及ぼし、ドーパミン(快感・多幸感を得る機能を持つ脳内ホルモンのひとつ)の産生を阻止することもわかっています。 ドーパミンは、神経伝達物質であり、運動制御にも関わっているものです。 ドーパミンを適度な量作れないため、PDに苦しむ人たちは、運動能力が欠如して、顔の表情も失われがちです。うまく体のバランスもとれず、体の震えや筋肉痛に悩まされます。 またPDは「パーキンソン病認知症 」(PDD)という形態に、発展する危険性もあり、記憶力などの認知能力が低下するのです。
パーキンソン病の症状は、すぐにはわからないかもしれません。ですが進行性なので時がたつにつれ、症状は悪化します。 PDによる震えは、手足・首・あご・胴体など、さまざまな部位で起こります。 これによって歩くのも難しくなり、パーキンソン歩行と言われる歩き方になります。前かがみの姿勢で小刻みにすり足で歩き、歩行中に腕を振れないなどの症状で、すぐにその病気だとわかるのです。 PDによって起こる運動障害は、医学的には 「ジスキネジア 」と呼びます。
しかし何より、パーキンソン病の症状で困るのは「震えが止まらない」点でしょう。 パーキンソン病の人は、滑舌が悪くなることもありますが、嚥下障害・幻覚・妄想・不安感・記憶力や集中力の低下・ やる気がなくなる・うつ・痛み・不眠症などさまざまな症状に悩まされます。 ここまでお話ししてきて、すでにおわかりでしょうが、パーキンソン病の人は、症状にもよりますが、生活の質は大幅に下がってしまいます。 PDの治療方法は多岐にわたり、ドーパミン不足を補う薬を服用することから手術に至るまで、いろいろです。 この病を完治する方法は今のところなく、治療薬も症状に応じてありますが、副作用、例えば眠気・視力低下・下痢・吐き気など、諸症状が見受けられます。
では、パーキンソン病の治療法にとって代わる、CBDの可能性について探っていきましょう。
パーキンソン病にCBDは?
先ほどお話しした通り、体内に元から存在するカンナビノイドは、脳と体の神経伝達物質と相互に作用します。 これらの多くは、大脳基底核 (大脳皮質と視床・脳幹を結ぶ神経核の集合体)に存在しています。 大脳基底核は運動制御にかかわる脳細胞の集まりで、パーキンソン病の影響をじかに受けるのです。 CBDがこれらの受容体と結合し、PDの症状緩和に役立つのではないかと示唆されています。
パーキンソン病にCBDがどう影響するのか、 これまでに前臨床試験と臨床試験の両方が実施されてきました。しかしあまりに多くの発見がなされ、今なおさらなる研究や調査が必要であることも事実です。 肯定的な結果では、CBDオイルを経口摂取した場合、体の震えを止める即効性があると発表されました。 しかしまた別の研究では、CBDはパーキンソン病認知症での心の問題を軽減すると同時に、 ジスキネジアの症状を緩和することはできなかったとしています。
コロラド大学・神経学科教授で運動障害研究のチーフである、モーリーンA.リーヘイ医学博士は、CBDとパーキンソン病に関して、7人の被験者という小規模な研究ながら、肯定的な結果を得ることができました。 CBDを摂取すると、パーキンソン病患者の体のこわばりと痛み、両方が軽減されたのです。
ブラジルで行われた二重盲検試験 (被験者も観察者もどんな薬を投与するのかわからないで行う方法) では、21人のパーキンソン患者が3グループに分かれました。1日に75mgのCBDを摂取するグループ・1日に300mgのCBDを摂取するグループ・プラセボ(偽薬)を摂取するグループです。 最終的に、運動機能と一般的な症状に効果があり、神経保護の作用もあったことが評価されました。 また生活の質も向上したのです。 運動機能と一般的な症状・神経保護作用には目を見張るべき改善はありませんでした。ですが300mgCBDを摂取したグループとプラセボ群では、生活の質の向上に大きな違いが見られました。 CBD摂取をすれば、PD患者の日々悩む問題を軽減する可能性が高いことがわかります。
そして上記の研究結果に対抗するべく、マイケルJ.フォックス財団から資金提供を受けた研究では、CBDは確かに抗炎症・抗酸化の特性があり、神経保護作用もあると発表しています。マイケルさんは「バック・トゥー・ザ・フューチャー 」という映画で、日本でも一躍有名になりましたが、若くしてパーキンソン病に罹患し、この財団を立ち上げたのでした。
付け加えると、FacebookやYou-tubeなどで何度もシェアされている動画があります。この動画を見れば、CBDが何人かのパーキンソン病患者の体の震えをすみやかに軽減していることがわかります。 そんなビデオはただの偶然にすぎないと思う方もいるかもしれませんね。ですがCBDの即効性は一目瞭然、驚くべき効き目を発揮しています。
まとめ
今後はもっと大人数での調査・研究が必要ではありますが、パーキンソン病におけるCBDの果たす役割は、かなり希望が持てますし、さらなる研究によって、それが裏付けられることを願いたいものです。 CBDについての質問や、そのほか健康関連でご質問がありましたら、ページの右端にあるチャット機能を使って、気軽にお問い合わせください。
最後におさらいしておきましょう。
- パーキンソン病は運動障害や体の震えを引き起こし、認知症に至ることもあります。
- PDを根治する治療はいまだになく、従来の治療法には、しばしば望ましくない副作用が伴います。
- パーキンソン病にCBDがいい影響を及ぼすかについては、研究結果もまだ肯定的なものとそうでないものが混在しています。しかし可能性は十分に考えられます。
- PDによる体の震えを、CBDの摂取ですぐに軽減できた研究結果もあるのです。